making soy sauce

「天然醸造」とは、一に本醸造であること、二に酵素の添加による発酵の促進を行っていないこと、三に保存料などの食品添加物を使用していないこと、の三点を満たした醤油造りのことを言います。
長い歴史の間にお蔵に棲みついた菌の助けを借りながらじっくりと時間をかけて熟成させることで、
栄醤油特有の「味・色・香り」が生みだされるのです。

醤油は、和食の基本である「さしすせそ」のうちのひとつとして日本の食卓に欠かせないものとなっています。
しかし、その醤油が造られていく過程をご自身の目で見たことがある方は少ないのではないでしょうか。
ここでは、「栄醤油」の醸造工程をご紹介することで、より醤油を身近な存在として知ってもらいたいと思います。

  • 01

    大豆・小麦・塩

    原料は大豆・小麦・塩。いたってシンプルですが、これらが「麹菌(こうじきん)」をはじめとした微生物たちのちからによりかたちを変えていくことで、醤油独特のまろやかな塩味や口の中に広がるこうばしい香りが造りだされるのです。そのために、微生物たちがちからを発揮しやすい環境作りから始めていきます。

  • 02

    小麦を炒って砕く

    小麦はまず、レンガづくりの大きな炒り機に入れます。その中で、熱せられた砂と小麦を一緒に混ぜ合わせることで、小麦に均等に火が通ります。この時、あたりにとても香ばしい匂いがたちこめます。それから、炒ったことでぷっくりと膨らんだ小麦を、歯車がついた機械で細かく砕きます。これらの過程を経ることで、麹菌たちが働きやすくなるのです。

  • 03

    塩水をつくる

    地下100メートルからくみ上げた清冽な井戸水を使って塩水をつくります。桶いっぱいの水に大きなざるを浮かべて、その上に山盛りの塩を乗せます。するとだんだんと塩が溶けだしていって、かき混ぜなくても塩水のできあがりです。こうしたところに、昔の人の知恵がいきています。濃い塩分は、悪い菌の繁殖を防ぎます。

  • 04

    大豆を蒸す

    まず大豆を一晩水に浸し、翌朝大釜で蒸します。朝日差し込む工場には、立ちのぼる湯気と大豆の甘い香りが広がります。大豆に含まれるたんぱく質は醤油の旨味の素であり、蒸すことで分解しやすくなります。殺菌の役割もあるこの工程は、味に直結する重要なポイント。大豆の品種や状態により蒸し加減が変わるため、長年の経験を頼りに、指で確かめながら仕上げていきます。

  • 05

    麹をつくる

    醤油造りの要となる麹づくりが始まります。蒸した大豆と炒って砕いた小麦を混ぜ、麹菌の素「種麹」をふりかけては混ぜる作業を繰り返し、コンテナに移して「室」へ。3日間、温度を調整しながら丁寧に手入れし、麹菌がしっかり繁殖するのを助けます。大豆と小麦がふかふかに変わり、緑色に色づけば麹の完成。室から取り出すと、あたりには麹の香りとともに、うっすらと緑の煙が立ちこめます。

  • 06

    発酵・熟成

    完成した麹は塩水と混ぜられ、木桶に仕込まれて「諸味」となります。古く大きな木桶が並ぶ蔵には、長年棲みついた微生物たちが息づいており、彼らの働きが醤油の味をつくります。人も発酵の手助けとして、諸味をかき混ぜて空気を送り、状態を見守ります。加温せず四季の自然にまかせて約1年半かけて熟成。大豆と小麦は分解され、旨味・甘味・塩味・苦味・酸味の五味が生まれます。

  • 07

    圧搾

    こうして十分に熟成した諸味を、木枠の中に広げた布に垂らして包みこみます。その上にまた布を広げて諸味を垂らして包む。何層にも上に、上にと積み重ねていくことで、諸味自身の重みで醤油が搾り出されます。その後、圧搾機で力を加えることでさらに搾り出されます。この時の透き通った赤色の醤油が「生揚(きあげ)」と呼ばれるものです。

  • 08

    火入れ

    先程の生揚を殺菌のために加熱することを「火入れ」と言います。こうして微生物たちの動きをとめておかないと、瓶に詰めてからもどんどん発酵していってしまうからです。ここで、透き通った色みから深みのある琥珀色へと変化すると同時に、醤油の、あの何とも言えないこうばしい香り「火香(ひか)」が生まれます。

  • 09

    瓶詰め

    できあがった醤油を瓶につめて、ラベルを貼れば「栄醤油」のできあがりです。醤油は空気に触れると酸化して、色が悪くなったり風味が落ちたりしてしまうので、開封後は冷蔵庫での保存がおすすめです。